売りに出ていない空き家でも交渉できる?|気になる物件を購入するために知っておきたいこと
2025.11.14 売買コラム 買いたい

通勤や散歩の途中で、長い間人の気配がない家を見かけて気になったことはありませんか。売り出しの看板が出ていない空き家でも、条件が整えば購入交渉に進めるケースがあります。しかも周囲が動き出す前のタイミングでアプローチできれば、同じ物件を狙うライバルに先を越される心配もほとんどありません。
この記事では、まず売りに出ていない空き家でも取引が成立する可能性があるのかを解説します。そして最後に、一般には公開されていない物件へどのようにアプローチすれば良いのか、現場の視点から手順と注意点をまとめました。
目次
売りに出ていない空き家でも購入できる可能性はある?
ポータルサイトに載っていないから買えないと思ってしまいがちですが、実は売りに出されていない物件=購入不可能とは限りません。むしろ、表には出ていないだけで、所有者の事情次第では交渉の余地がある可能性もあります。
不動産の現場では、以下のようなパターンがよくあります。
空き家を持っている所有者の中には、「いずれ売らなきゃとは思ってるけど、まだ決断できていない」という方もいます。
例えば…
- • 相続してどう活用すべきか悩んでいる
- • 思い出が詰まっていて手放すことに迷いがある
- • 手続きが面倒で後回しにしている
といった理由で、放置状態のままになっているのです。
そんな物件でも、「買いたい」という人の存在がきっかけになって売却が進むことがあるのです。
高齢の方や、遠方に住んでいる所有者の場合、「空き家の存在は気になっているけど、どう動けばいいか分からない」というケースもあります。
例えば…
- • 相続したけど住所変更や名義変更の手続きがされていない
- • 親の家を引き継いだけど、地元に戻る予定がなく売却を迷っている
- • 管理ができず放置してしまっている
このような場合、こちらから丁寧にアプローチすれば前向きに話が進むこともあります。
特に、地元の不動産会社が間に入ることで信頼を得られやすくなります。
実は「すでに売却の相談を受けているけれど、まだネットに出していない」というケースもあります。これはいわゆる「非公開物件」「水面下物件」と呼ばれるものです。
例えば…
- • 相続や境界確認などの法的手続き中
- • 荷物の整理が終わっていない
- • 売却価格の調整中
といった段階では、情報をまだ公開していないことが多いのです。
地元の不動産会社であれば、こうした「水面下の情報」も把握していることがあり、先に相談しておくことで優先的に紹介してもらえることもあります。 「売りに出ていない=無理」ではありません。
チャンスが眠っているかもしれないからこそ、「気になる空き家がある」ときは、まず相談してみましょう。
空き家の所有者を調べる方法【注意点あり】
不動産の所有者情報は「登記簿(登記事項証明書)」という公的な書類で確認できます。法務局やオンライン(登記情報提供サービス)で、地番が分かれば誰でも取得可能です。
登記簿からわかる主な情報:
- • 所有者の氏名(法人の場合は名称)
- • 所在(登記上の住所)
- • 取得した経緯(売買・相続など)
ただし、地番と住所は異なる場合があるため、土地の正確な地番を調べる必要があります。
登記簿を取ったからといって、いきなり手紙を送ったり、自宅を訪問したりするのは非常にリスクが高い行為です。
トラブルになりやすい例:
- • 相手が「知らない人に個人情報を調べられて怖い」と感じる
- • 押し売り・詐欺と誤解される
- • 心理的な抵抗で交渉が一気に拒否される
このような事態を避けるためにも、個人での直接交渉は避け、不動産会社を通じたアプローチが基本です。私たち不動産会社は、所有者に失礼がないよう、配慮しながら手紙、訪問を行います。
地元の不動産会社に相談するメリットとは?
地元の不動産会社は、その地域の物件情報だけでなく、街の移り変わりや住民構成、過去の売買履歴なども把握しています。「この空き家は昔○○さんが住んでいた家だ」といった情報を持っていることもあり、所有者へのアプローチや背景の理解がスムーズです。
特に清須市のように地域との結びつきが深いエリアでは、こうした地元ならではの情報力が、購入希望者にとって大きな武器となります。
売りに出ていない空き家の交渉には、所有者への連絡、意向確認、売却条件の調整など、専門知識と慎重な対応が求められます。不動産会社に依頼すれば、これらを一括して代行してもらえるため、手間やリスクを大幅に減らすことができます。
また、交渉がうまくいって売買契約に至る場合も、契約書の作成や手続きのサポートまで対応してくれるため安心です。
大手不動産会社では扱いにくいようなピンポイントのご相談も、地元の不動産会社なら柔軟に対応できるケースが多くあります。「こんなこと聞いてもいいのかな?」という内容でも、親身に話を聞いてもらえるのが、地域密着型ならではの魅力です。
気になる空き家や空き地があるなら、まずは一度地元の不動産会社に相談してみることをおすすめします。
「売りに出ていない物件」にアプローチするには?
ここでは、不動産実務の現場でよく使われる進め方をご紹介します。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況にあった方法を検討してみてください。
もっとも一般的で、現実的なのがこのパターンです。
不動産会社が動き出すためには、まずあなたから買付証明書(購入申込書)を預かることが前提になる場合が多いです。
というのも、その物件は現時点では「売り物」ではなく、所有者にも売却の意思がないかもしれません。そうした相手に「売っていただけませんか」と交渉するには、まず買主側の本気度を示す必要があるのです。
買付証明書には、
- 購入希望価格
- 条件(引渡時期、支払方法など)
- 回答期限
を明記します。不動産会社とよく相談したうえで金額を決め、書面にして渡すことで、交渉の第一歩がスタートします。
ここで大切なのは、価格を提示せずに「売ってくれるかどうかだけ」を聞くのは避けることです。価格がないと、売主の判断が曖昧になり、話が前に進みづらくなります。最悪の場合、相手に不信感を与えてしまうこともあります。 また、「いつまでに返答が欲しいか」を記載しておくことで、交渉が長引かず、お互いに気持ちの整理がしやすくなります。
もうひとつの方法は、不動産会社が「このエリアで土地や空き家を探している方が多くいます」と伝え、媒介契約(売却依頼)を打診するスタイルです。
この場合は、特定の買主(あなた)を前提とせず、
というニュアンスで接触します。
不動産会社としては、所有者の売却意思を喚起し、物件が市場に出ることを目指す形になります。その結果、あなたが買主になれればベストですが、そうならないこともあります。
この方法は特に人気エリアの空き地や空き家に対して有効ですが、すでに他の会社からも同様のアプローチを受けている可能性もあります。タイミングや関係性づくりがカギになります。
おすすめするのは、やはり最初に価格を提示してから交渉する「買付証明スタイル」です。
売主にとっても、「この金額で買いたいという人がいます」と具体的に伝えられた方が判断しやすく、売却を前向きに検討しやすくなるからです。
ただし、どちらの方法にも一長一短があり、物件の状況や売主の性格によってアプローチは異なります。いずれにしても、個人で進めるにはリスクもあるため、地元の状況に詳しい不動産会社に相談して、慎重に交渉を進めるのが成功への近道です。
まとめ|気になる物件があれば、まずは相談してみましょう
売りに出ていない物件でも、購入のチャンスはゼロではありません。
ただし、必ずしも交渉が成立するとは限りません。所有者に売る意思がなかったり、価格や条件が折り合わないケースもあります。その点はあらかじめご理解いただいたうえで、前向きに動くことが大切です。






